- 国名 イタリア
- エリア プーリア
アペロはレッチェの大聖堂の前で
レッチェの空を黄金色に染める夕暮れ時、
パトリア・パレス・ホテルのテラスに立つと、
街を象徴する美しい教会群や鐘楼が静かに浮かび上がる。
その景色の中でもひときわ存在感を放つのが、レッチェ大聖堂(ドゥオーモ)である。
現在の大聖堂は17世紀後半、
レッチェ・バロックの巨匠ジュゼッペ・ジンバロによって再建されたもので、
サレント地方を代表する建築遺産として知られている。
大聖堂の起源は12世紀にまで遡るが、
当時の建物は時代とともに老朽化し、
レッチェが繁栄を迎えたバロック時代に大規模な改築が行われた。
1682年に完成した現在の姿は、
柔らかな蜂蜜色のレッチェ石によって造られ、光の加減によって刻々と表情を変える。
隣にそびえる高さ約70メートルの鐘楼は街のランドマークであり、
かつてはアドリア海から迫る敵船を監視する役割も果たしていたという。
レッチェのドゥオーモが特別なのは、その立地にもある。
多くの大聖堂が広場に向かって正面を構えるのに対し、
レッチェ大聖堂は三方を建物に囲まれた閉ざされた広場の中に建ち、
訪れる人々はまるで劇場の舞台へ足を踏み入れるようにその姿と出会う。
静寂に包まれた空間に足を踏み入れた瞬間、
壮麗なファサードと鐘楼が現れ、訪れる人々を圧倒するのである。
パトリア・パレス・ホテルのテラスから眺めるドゥオーモは、
昼と夜でまったく異なる魅力を見せる。
日中は青空を背景に輝くレッチェ石の彫刻が鮮やかに浮かび上がり、
夕暮れには街全体が金色の光に包まれる。
そして夜になるとライトアップされた鐘楼と教会群が幻想的なシルエットとなり、
何世紀にもわたってレッチェの人々を見守り続けてきた歴史の重みを静かに語りかける。
この景色は単なる眺望ではない。
十字軍の時代から商人や巡礼者を迎え、
バロック文化の黄金期を経て現代へと続くレッチェの歴史そのものなのである。
テラスでグラスを傾けながら眺めるドゥオーモは、
まるで時を超えて語り継がれるサレントの物語の一頁のように、旅人の心に深く刻まれる。
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MEMO
レッチェ旧市街の中心、壮麗なサンタ・クローチェ聖堂の真正面に建つ**パトリア・パレス・ホテル(Patria Palace Hotel)**は、サレント地方を代表する5つ星ラグジュアリーホテルである。18世紀に貴族ペトラローロ・ダンナ家の邸宅として建設された歴史的なパラッツォを利用しており、レッチェ・バロックの巨匠建築家マウロ・マニエーリが手掛けた傑作の一つとして知られている。300年以上にわたりレッチェの歴史を見守ってきたこの建物は、現在では街を象徴するラグジュアリーホテルとして国内外の旅行者を迎えている。
ホテルは約30室の客室とスイートを備え、それぞれが異なるデザインを持つ唯一無二の空間となっている。高いヴォールト天井、レッチェ石の装飾、歴史的フレスコ画に加え、現代的なイタリアンデザインやアールデコの要素が巧みに融合され、歴史とモダンが共存する洗練された滞在を演出する。窓からはサンタ・クローチェ聖堂や旧市街の石造りの街並みを望むことができ、まるでレッチェの歴史の中に暮らしているかのような特別な時間を味わえる。
「Patria(祖国)」という名前には深い歴史的意味がある。19世紀半ば、イタリア統一運動(リソルジメント)の時代に、この貴族邸宅は旅人のための宿「ロカンダ・パトリア」として生まれ変わった。祖国統一への希望が高まる時代に名付けられたこの名称は、今日までホテルのアイデンティティとして受け継がれている。その後、孤児院や旅籠として利用された時代を経て、1997年にはプーリア州初の5つ星ホテルとなり、2024年には大規模改装を終えて新たな姿で再オープンした。
館内にはレストラン「Atenze」があり、サレント産のオリーブオイルや地元食材を用いた洗練された地中海料理を提供する。さらに屋上の「Sira Rooftop Bar」からは、目の前に迫るサンタ・クローチェ聖堂の壮麗なファサードを眺めながらアペリティーボを楽しむことができる。夕暮れ時には黄金色に染まるレッチェ石の街並みが広がり、レッチェ随一の絶景スポットとして人気を集めている。
また、近年オープンした「Idume Spa」は、古代レッチェの地下を流れていた伝説のイドゥメ川に着想を得たウェルネス施設で、ハマムやサウナ、ハイドロセラピーなどを備える。夏季にはアドリア海沿岸の提携ビーチクラブへの送迎サービスもあり、歴史都市観光とリゾート体験の両方を満喫できる。
パトリア・パレス・ホテルは単なる宿泊施設ではない。貴族の邸宅として生まれ、旅人を迎える宿へと姿を変え、そして現代のラグジュアリーホテルへと進化してきた「レッチェそのものの歴史」を体現する場所である。サンタ・クローチェ聖堂と向かい合うこの宮殿は、今も変わらず街の中心で訪れる人々を迎え続け、サレントの美しさとホスピタリティを伝えている。
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