ここでは、すべてが計算され尽くしているのに、
決して息苦しくならない。
美しさは誇示されず、余白の中に自然に溶け込んでいる。
照明のわずかな角度、
肌に触れるリネンの質感、
音の少なさ、時間の流れ方。
そのひとつひとつが、
現実と夢の境界を少しずつ曖昧にしていく。
シュヴァル・ブランは、
ラグジュアリーを見せる場所ではない。
感じさせる場所だ。
滞在しているうちに、
特別であることを意識しなくなり、
ただ自分の感覚が研ぎ澄まされていく。
その感覚は女性的な優美さから始まり、
やがて性別を超えた「美」そのものへと変わっていく。
これはホテルというより、一種の体験だ。
一度かかってしまえば、簡単には解けない魔法がある。
恐るべし、フランスの美的センス。
理屈じゃなく、感覚に直接かけてくるこの力。
深く考えるのは、もうやめよう。
さあ、クロワッサンを食べに行こう。
