気づけば、ベルモンドの拠点は世界中に点在している。
都市の中心に、密林の奥に、川の流れの上に、線路の先に。
ロケーションはまったく違うのに、
そこに足を踏み入れた瞬間、
空気の密度が変わる。
時間がゆっくりと形を持ちはじめ、
旅人は「ゲスト」ではなく「物語の登場人物」になる。
ベルモンドの旅は、点では終わらない。
ホテルから列車へ、列車から川へ、川から大地へ。
体験が連なり、線となり、やがて一本の美しい旅程になる。
だから服も変わる。
列車には仕立てのいいジャケットを、サファリには静かな色のシャツを。
少しだけ背筋を伸ばして、でも無理はしない。
ベルモンドは、ラグジュアリーを誇示しない。
代わりに、世界をどう編集すれば人の感覚が最も豊かに開くかを知っている。
旅を「消費」から「体験」へ、体験を「記憶」へと変えていく。
僕にとってベルモンドとは、
人生の流れを、
ほんの少しだけドラマティックに切り替えるための、最高の装置だ。
日常を非日常に変えるには、やっぱり装置が必要だ。
それも、ずばぬけて美しく、世界をまたぐ装置が。

